フランスの白百合の里で暮らしてきた19世紀の古書 / Antique French Book "Henrietta"

フランス・アンティーク、シャルトル聖パウロ修道女会の蔵書票が貼られた古く美しい本。






タイトルは「Henrietta」。

女性の名前で、英語読みではヘンリエッタ、フランス語読みではアンリエット。

このアンリエットが主人公の物語です。


印象的な赤に、黒と金彩で描かれた百合の花が美しく、豪華な装丁の古書。
この「Henrietta」は1860年代から1870年代頃にフランスで出版されたものが多いので、この本もその頃のお品物だと思われます。



そして、もうひとつ、このお品物を特別なものとしている証がございます。


表紙を開けば、見返しには古い蔵書票が貼られています。
蔵書票の一番上には以下の文字。


「PENSIONNAT」


PENSIONNAT /パンジオナアトとはフランス語で寄宿学校/寄宿舎のこと。

ヨーロッパにおいて教育施設は、はじめは中世に聖職者養成のため設立された修道院学校が、やがて貴族や富裕層の青少年たちを教育する寄宿制学校(英語boarding school,フランス語pensionnat)となり、それが一部は大学等に変化していく・・・という流れがあります。

パンジオナアト・・なんとも懐古的な響き。

森鴎外が1912年に発表した「かのやうに」の本文には、この言葉がでてきます。

「上流の人を相手にして開いてゐる、某夫人のパンジオナアトでは、若い男女の寄宿人が、芝居の初興行をでも見に行くとき、ヰコント五条が一しよでなくては面白くないと云ふ程だと話して聞せるので、子爵夫婦は喜んで、早く丈夫な男になって帰って来るのを見たいと思っていた。」

明治45年/大正元年、読者はこの言葉を読んでどのように感じたのでしょうか。
まだ見ぬ遠い異国の、知らない文化に胸を膨らませずにはいられない、不思議な響きをもつ言葉。寄宿舎ではなく、あえてパンジオナアトと書いたところに鴎外の意図を感じます。


また、その下には以下の文字がみられます。

「Soeurs de Saint Paul de Chartres」


これは、1694年からの歴史を持つシャルトル聖パウロ修道女会のこと。
日本においては、白百合女子大学の設立母体といったほうがわかりやすいかもしれません。




以上のことから、この本はシャルトル聖パウロ修道女会の寄宿舎にあったものであると思われます。

手に入れたのは英国ですので、シャルトル聖パウロ修道女会の寄宿舎にあった古い本が、なんらかの理由で市場にだされ、隣国英国まで流れてきたのかもしれません。

蔵書票の手書き文字は流れるように美しく、どんなシスターがこの文字を書いたのか、想像をかきたてるのに十分な存在感をもっています。


少女たちが繰り返し繰り返し読んできたであろう、こぶりの鮮やかな赤い本。
芸術的な装丁と共に、この本が過ごしてきた時間を想像するお愉しみを、どうぞご堪能ください。




こちらからも拡大画像をご確認いただけます。


◆France
◆推定製造年代:c.19世紀後半
◆素材:紙
◆サイズ:幅約12.7cm 高さ約20.5cm 厚み約1.6cm
◆重量:270g
◆在庫数:1点のみ


【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、破れや変色がみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。


  • フランスの白百合の里で暮らしてきた19世紀の古書 / Antique French Book
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718-122-1

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大江戸骨董市
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有楽町・東京国際フォーラム
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