ヴィクトリアンのバーミンガムから来た飴色の杖 / Antique Victorian Walking Stick with Malacca Cane

シルバー・グリップに加えシャフトに最高級素材・マラッカ藤を使った高級アンティーク・ステッキ。




17世紀、男性が剣を持たなくなった代わりに持ちはじめたといわれるステッキ。

その頃から、「象牙のグリップにマラッカ藤のシャフト」が高級ステッキの定番素材だったといいます。
大航海時代に端を発し、世界中から素晴らしい品物を集めていた英国ならではの、贅沢な組み合わせでした。


マラッカ藤(マラッカケイン)とは、マレーシア、マライ半島西岸のマラッカ海峡に面した港湾都市から出荷される周辺
地域特産の藤の茎のことです。


もともとの材に斑(フラワー)が入っており、使えば使うほどそれが濃くなり、全体に艶がでてきて、しっとりと飴色になるのが特徴。その艶具合や斑などは個体差があり、その表情を愉しむのがマラッカケイン愛好者の愉しみであるといっても過言ではありません。

軽く丈夫で表情豊か、そしてエイジングもたのしめるマラッカケインは、杖はもちろん、傘の柄にも使われており、現代においても英国紳士が大好きな素材。英国王室御用達、老舗の傘メーカーFOXも、傘の柄の定番素材としてマラッカ藤を取り揃えています。


今回ご紹介するステッキは、シャフトがそのマラッカ藤、そしてグリップはシルバーでできている最高級の逸品。


シャフトにはなんとも味わい深い斑がまるで絵画のように現れており、自然の奥深さを感じさせます。
シャフトの下にいくほどグラデーションのように色が濃くなっているのも興味深いところ。
グリップ天端には、ひっかいたような線でアルファベットのようなものがみえますが、おそらくこれは持ち主のもの、というよりは後年の悪戯のような気がいたします。
ドアノブのような丸みのあるグリップの下部には、だいぶ歪んではおりますが確かにスターリングシルバーのホールマークが確認できます。

一番左のアルファベットはメーカーズマークでしょう。「M.R」のように読めますが、製造元は残念ながら特定できませんでした。
次は錨はバーミンガムのアセイオフィスの印。
隣には隅のとれた矩形にやや飾り文字の「u」。これが1894年を表します。そしてその隣にはお決まりのライオン。


さて、バーミンガムのアセイオフィスの印が錨であること、ちょっと疑問に思いませんか?
「あれ、バーミンガムって港町だっけ・・?」英国の地理をご存知の方はそう思われたはず。バーミンガムは内陸で、小さな河は流れておりますが、とても港町ではございません。



その由来はこんなお話がございます。
1773年、ロンドン、ストランド。
「Crown and Anchor Tavern」というパブで行われたバーミンガム、そしてシェフィールドのアセイオフィス開始の会合。
そこでコイントスが行われ、勝ったバーミンガムが「Anchor/アンカー/錨」のマーク、負けたシェフィールドが「Crownクラウン/王冠」のマークとなった・・・。
というもの。



さて、トップがかるくつぶれた球形になっているグリップは、シンプルながらも持ちやすく、いつまでも指先で撫でていたくなるような優しい丸みを持っています。そこには凝ったカーヴィングが施され、意匠性を高めるとともに格好の滑り止め効果もあるように推察いたします。


モチーフはアカンサスのスクロール、五弁の花、そしてパルメット。

パルメットとは、棕櫚をもとにしたといわれる意匠の事です。
棕櫚(ナツメヤシ)は古代メソポタミアやエジプトでは聖樹とされ、落葉なく毎年新しい葉をつけ枯れるまで実をつけるため生命育成、繁栄のシンボルとされました。初期キリスト教美術では教会あるいはキリストの象徴として、信徒を示す動物と共に表されることが多くあったようです。
パルメットも同じ意味で、建築や陶器の柄として古代ギリシアから用いられてきました。ルネサンス以降は、パルメットのもつ宗教性よりも形の面白さを活かしたデザインが多く生まれました。特に18-19世紀以降のネオクラシシズムにおいて、建築や家具、雑貨などに広く用いられました。



生命の象徴であるアカンサス、チューダーローズに通じる五弁の花、そして繁栄のシンボル、パルメット。
連綿と繋がる歴史のなかで生まれ、愛されてきたモチーフを散りばめた美しく輝くグリップは、このステッキを唯一無二のものとしています。





ヴィクトリア時代のバーミンガムからやってきた飴色の杖。
120年以上の間、どんな物語をみてきたのでしょうか。

今度は貴方が、その物語の続きを紡いでください。



こちらからも拡大画像をご確認いただけます。


◆England
◆Birmingham
◆推定製造年代:c.1894年頃
◆素材:スターリングシルバー、マラッカ藤
◆サイズ:全体長さ約89.5cm グリップ直径約4.2cm
◆重量:約187g
◆在庫数:1点のみ


【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、歪みや変色がみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*石突き部分の真鍮には少しワレが認められます。実際にご使用の際はゴムキャップなどの装着をおすすめいたします。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。


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619-355

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【ご注意ください】
大江戸骨董市は3月までは15時終了となっています。4月以降は未定です。


3月2-3日(土日)
谷中骨董市
(両日出店)
荒川区西日暮里3-10-1 延命院

**ご来場有難うございました**

3月10日(土)
大江戸骨董市

**ご来場有難うございました**

3月24日(日)
大江戸骨董市
(出店確定)
有楽町・東京国際フォーラム
9-15時
雨天中止


4月7日(土)
大江戸骨董市
(出店確定)
有楽町・東京国際フォーラム
9-15時
雨天中止


4月20-21日(土日)
谷中骨董市
(両日出店確定)
荒川区西日暮里3-10-1 延命院
9-16時
*20日は当店は15時頃から片づけます* 雨天中止


4月28日(日)
大江戸骨董市
(出店確定)
有楽町・東京国際フォーラム
9-15時
雨天中止


【ご注意】
(仮)は出店できないこともございます。出店決定しましたら(出店確定)に更新いたします。

(出店確定)となっても天候やその他の事情により骨董市自体が中止になったり早く終わる可能性がございます。その際はご容赦ください。

大江戸骨董市は終了が16時(2024年1-3月は会場の都合で15時)ですが、当店は手持出店のため、終了時刻には全て片付けている状態の完全撤収が求められています。当店は細かい物が多く時間がかかるため、2時間前には撤収を開始いたしますので、どうかご了承ください。大江戸骨董市はお早めのご来場をおすすめいたします。