アーサー・シュヴァリエ博士のローネットはいかが /Antique Lorgnettes with Case by Dr. Arther Chevallier

フランスアンティーク、ケース付ローネット。



ローネット/Lorgnetteとは、柄のついた折りたたみ式眼鏡(もしくは拡大鏡)のこと。


歴史は古く、18世紀のヨーロッパ社交会の貴族達が、ファッションアイテムとしてオペラや仮面舞踏会などで使用していました。


英国人の楽器職人、眼鏡職人であったGeorge Adams (c.1709-1773) が、折り畳んで専用のケースにしまえるよう工夫したことから、ポケットなどにいれて気軽に持ち運びできるようになり、とてもポピュラーになったそうです。

実用性よりも、貴婦人の装飾品としての要素が強く、様々な装飾を施されたものが制作されてきました。
一般的な近視用眼鏡の機能をもつもの、オペラグラスとしての機能をもつものなど、様々なタイプがあったと思われます。




さて、今回ご紹介するローネット。
シックなワインレッドのオリジナルケースに仕舞われており、細かな装飾と美しいゴールドカラーが特徴です。

開閉の様子を動画でアップいたしましたのでご覧ください。




蓋を開けば、蓋裏には以下の文字がみられます。

SIX MEDAILLES D'OR
Dr. Arther Chevallier
27.Avenue de L'OPERA
PARIS

まず、「SIX MEDAILLES D'OR」とは「6つのメダルを持つ」という意味かと思います。製作メーカーは過去6回、例えば博覧会などで賞を受賞してきた経歴をもつ、素晴らしいクオリティである、と誇らしく掲げたのでしょう。
次に、「Avenue de L'OPERA」とは、パリ、オペラ座(ガルニエ宮)を正面に臨む美しい通り。27番地はオペラ座に向かって左手側にあります。


最後に「Dr. Arther Chevallier/アーサー・シュヴァリエ博士」。
これについては少々長いお話となります・・・・。



1800年代、パリには同じ名前をもつ2つの光学機器商の一族がいました。

まず一人目。Louis-Vincent Chevalier/ルイス・ヴィンセント・シュヴァリエ(1743-1805)は眼鏡技師として修業を積んだのち、1765年、Quai del'Horlogeにて事業を開始。
ルイスが1805年に亡くなったのちは、息子のヴィンセントが店を継ぎ、カメラオブスクラなどの光学アイテムや顕微鏡などで知られるようになります。
やがてヴィンセントの息子、チャールズも事業に参加。1833年にはチャールズは独立し、パレロワイヤルにて独自の事業を始め、より優れた顕微鏡などで有名になっていきます。
1859年にチャールズが亡くなると、息子のアーサー(1830-1874)が事業を引き継ぎました。
アーサーは1870年にロストック大学から名誉博士号を授与され、その後「アーサー・シュヴァリエ博士/Dr. Arther Chevallier」と呼ばれるようになります。
アーサーは1874年には43歳の若さで亡くなり、その後妻や娘も相次いで他界。1881年に事業は他の光学事業を所有していたReneとCharles Avizardの2人の兄弟によって買収されました。


そして二人目。Jean Gabriel Augustin Chevallie/ジャン・ガブリエル・オーガスティン・シュヴァリエ(1778-1848)。
1796年にパリのQuai de l'Horloge 1にショップをオープンさせます(一人目のシュヴァリエと同じ通りです)。
熟練した職人として顕微鏡、望遠鏡、その他楽器などを製造し、多くの上級顧客から評判を得ます。
彼は1842年、義理の息子に事業を売却。その後も顧問として関係を維持しますが、彼の死後、会社は「Maisondel'IngenieurChevallier」と社名を変更。
そして1883年には、やはりReneとCharles Avizardの2人の兄弟が事業を買収します。


ここで2つのシュヴァリエは1つの事業主のものとなります。
1914年から1921年の間どこかで、Avizardは2つのシュヴァリエを統合し、まとめた店舗を「27.Avenue de L'OPERA/27アベニュードオペラ」に移転。
その後の記録はみつけることが出来ませんでしたので、恐らくそれほど長くは続かなかったのではないかと思われます。

今回ご紹介しているローネットは、この移転後の住所が記されておりますので、おそらく作られた時期は1910-1920年代頃と思われます。
2つのシュヴァリエ一族営んできた事業が一つとなり、経験豊富な光学機器を扱いつつ、また新たな道を探そうとしていた時期であろうかと思われます。





そんな由来をもつローネットにはもうひとつの特徴があります。

それは近眼用のものである、ということ。

一般的な拡大鏡(ルーペ)は凸面レンズで、これは遠視用のレンズとなります。
近視用のレンズは凹面レンズとなり、このローネットは「-3」の凹面レンズがはめ込まれています。
それほど強くない近視の方であれば、前に掲げれば眼鏡をかけたように、遠くのものがよく見えるようになっています。

そのため、通常のルーペのような距離感で小さな文字などを読もうとすると、逆に小さく見える、ということになっております。

コンタクトレンズなど当然ない時代。
一般的な眼鏡はありましたが、特に女性であれば、常に掛けていることはお洒落とは言えない時代でした。
恐らくはこのローネットの持ち主は女性で、「Dr. Arther Chevallier」に自分の近視に合わせてオーダーし、必要に応じて取り出して使っていたのではないでしょうか。

大切に使われていたのでしょう、状態はとてもよく、目立つ大きな傷はほとんどありません。


このまま軽めの近視用眼鏡として使われるのはもちろん、ご要望に応じて拡大鏡としてご使用いただけるレンズに交換も承ります。
その際は追加の費用(+6000円)が必要です。お手数ですが、必ずご購入に前もって、お問い合わせくださいますようお願いいたします。



18世紀からの歴史を持つ、パリの光学機器商が手掛けた、優雅なローネット。
オペラ座近くの店舗では、どんな光景が繰り広げられていたのでしょうか。

開くたびに、100年ほど前のパリの薫りが漂ってくるような、フランスアンティークの逸品。
是非貴方が受け継いでみてはいかがでしょうか。




こちらからも画像をご確認いただけます。


◆France
◆Dr. Arther Chevallier
◆推定製造年代:c.1910-1920年代頃
◆素材:金属、ガラス
◆ケースサイズ:幅約15.8cm 奥行き約6cm 厚さ約2cm
◆ローネットサイズ:全長約12.5cm レンズ部分直径約3.5〜3.6cm
◆重量:本体のみ26g ケース込75g
◆在庫数:1点のみ


【NOTE】
*古いお品物ですので、微細な小傷や汚れ等がみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*ローネットの開閉はスムーズです。ケースの留め金具もきちんと動作し、パチン、と音をたてて閉まります。
*ケース蓋は開けて立てておくとしばらくはそのままですが、その後ゆっくりと閉まってきます。
*現在は近視用のレンズ(-3.0)がはめ込まれています。ご希望により拡大鏡として使用できるレンズに交換いたします。
*特にご連絡なくご購入の場合は、このままの出荷となります。
*現時点でのレンズ交換費用見積りは+6,000円となります。
*交換を前提でご購入の場合は、必ず前もってご相談ください。その時点で見積りと納期を再確認しご返事を致します。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。

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221-308

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11月3日(日)
大江戸骨董市
有楽町東京国際フォーラム

**ご来場有難うございました**


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大江戸骨董市
有楽町東京国際フォーラム

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11月16-17日(土日)
谷中骨董市

**ご来場有難うございました**


12月1日(日)
大江戸骨董市
有楽町東京国際フォーラム
9-16時
当店は14時撤収開始
天候により中止あり
(出店予定)


12月7-8日(土日)
谷中骨董市
延命院(前庭・駐車場)
東京都荒川区西日暮里3-10-1
10-16時
(7日は当店は15時まで)
天候により中止あり
(出店確定)


12月15日(日)
大江戸骨董市
有楽町東京国際フォーラム
9-16時
当店は14時撤収開始
天候により中止あり
(出店予定)


【ご注意】
大江戸骨董市は終了時刻が16時ですが、当店は手持出店のため、終了時刻には全て片付けている状態の完全撤収が求められています。当店は細かい物が多く時間がかかるため、2時間前には撤収を開始いたしますので、どうかご了承ください。大江戸骨董市はお早めのご来場をおすすめいたします。