英国の老舗ロッスの双眼鏡 / Vintage Prism Binoculars by ROSS LONDON

英国ヴィンテージ、プリズム式双眼鏡。



英国のアンティークセンターで手に入れた古い双眼鏡。
すっぽり嵌る革製のケースと、ずっしりした手ごたえをもつ本体のクールさに我慢できず、手に入れてしまったひとしなをご紹介いたします。


まず、本体には以下の刻印がみられます。


STEREO PRISM BINOCULAR
POWER = 8

ROSS, LONDON
No_ 99098



いきなりですがざっくりと双眼鏡の仕組みと名称をご説明いたします。17世紀頃からの双眼鏡の仕組みは大きく分けて「ガリレオ式」「リレーレンズ式」「ポロプリズム式」に分類されます。


「ガリレオ式」は対物レンズの凸レンズと接眼レンズの凹レンズの組み合わせで対象物を拡大してみる方式。シンプルな構造で倍率は4倍程度。オペラグラスなどの比較的シンプルな双眼鏡に使われる方式です。


「リレーレンズ式」は対物レンズと接眼レンズ、両方に凸レンズを使用。間に複数のレンズを配置して成立像を得る仕組みで、細長い鏡筒が特徴です。19世紀から20世紀にドイツを中心に製造されていましたが、後のプリズム搭載の双眼鏡の出現により淘汰され、現在では使われていないようです。


「ポロプリズム式」とは、1854年にイタリアのポロによって発案されたプリズムを内蔵した仕組みの双眼鏡のこと。。対物レンズと接眼レンズ、共に凸レンズであり、その間に2個の直角プリズム(ポロプリズム)を90度に組み合わせて成立像を得ることが特徴。光度が高く、天体観測、海洋観測、または業務監視などに最適な構造。しかし、光路が乙状に折れ曲がるスペースを確保するため、サイズが大きくらなざるを得ないという特徴もあります。

正確には、19世紀後半から「ポロプリズム式」を進化させた「「ダハプリズム式」もありますし、細かく分ければもっと沢山の名称にわけることが出来るようですが、ここではそこまでの説明は遠慮させていただきます・・・。

今回ご紹介する双眼鏡がやや大きいことや、対物レンズと接眼レンズの位置がずれていることが、プリズム式であることを知ればさらに納得がいくのではないでしょうか。



以上を踏まえ、今回のお品物のご説明をいたします。


STEREO PRISM BINOCULAR
POWER = 8


つまりこれは「プリズム式双眼鏡 8倍率」という意味となります。



そして「ROSS, LONDON」についてもご紹介させていただきます。


1830年、ロンドンのWigmore Streetにて、Andrew Ross/アンドリュー・ロッスによって設立されたのがロス商会の始まり。

1840年にはカメラ用のレンズ製造を開始。早い段階でカールツァイスと提携を開始し、ロスは英国においてカールツァイスレンズを製造するライセンスを取得しています。レンズや双眼鏡を製造していましたが、1855-1910年代にはカメラも製造。1859年にはブルック ストリートに移転し、ニューボンドストリートに販売部門が置かれました。1900年代初めには英国産業博覧会に数多くの光学機器製品を出展。1948年にはバーネット・エンサイン(カメラメーカー)と合併し、バーネット・エンサイン・ロッス(Barnet Ensign Ross Ltd. )となります。ただ、その後も「ROSS」ブランドの名前で製品を作り続けていました。


参考までに、1900年に製造されたロッス社の双眼鏡は藤井竜蔵により日本に持ち込まれ、藤井レンズ製造所(日本光学工業を経て現ニコン)が双眼鏡国産第一号を製作した際モデルとなりました。


参考:一般社団法人日本望遠鏡工業会 双眼鏡の歴史(発明から20世紀初頭まで)
http://www.jtmas.jp/history/photo.html




また、「No_ 99098」はオリジナルのレジストレーションナンバーで、ロッスこのにおいて番号は1954年から1957年のものであるとされています。

参考:英国の趣味サイト「Ross binoculars - model guide」
https://www.retrowow.co.uk/retro_technology/binoculars/ross.php



多少の汚れやミラーの劣化(おそらく)はあるものの、十分に実用に足る双眼鏡。使い込んだ革製のケースから取り出し、ずっしりとした質感を感じながら覗き込めば、遠くの景色が手に取るように見えてきます。

60年以上前の人々が覗いた同じレンズを通して、今貴方はどんな景色を見るのでしょうか。



こちらからも画像をご確認いただけます。


◆England
◆推定製造年代:c.1954-1957年頃
◆素材:金属、ガラス、革、布
◆双眼鏡本体サイズ(ケースに納まるときのサイズ):幅約147cm 奥行き約100cm 厚み約5.5cm
◆双眼鏡本体重量:559g
◆ケースのみ重量:391g
◆在庫数:1点のみ


【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、変色、革の劣化等がみられます。
*蓋裏エッジに書き込みがみられます。
*レンズ内は錆の様な汚れとプリズムミラーの劣化が若干みられます。
*右目側が、視界周囲に波打つような映り込みがみられます。出来るだけ撮影しましたが、完全にお伝えすることは難しいことをご了承ください。
*個人的感想としては、実用に足る品物と思います。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
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222-052

24,000円(内税)

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11月3日(日)
大江戸骨董市
有楽町東京国際フォーラム

**ご来場有難うございました**


11月9日(土)
Marunouchi Antique Market
丸の内仲通り
丸の内二丁目ビル前

**ご来場有難うございました**


11月10日(日)
大江戸骨董市
有楽町東京国際フォーラム

**ご来場有難うございました**


11月16-17日(土日)
谷中骨董市

**ご来場有難うございました**


12月1日(日)
大江戸骨董市
有楽町東京国際フォーラム
9-16時
当店は14時撤収開始
天候により中止あり
(出店予定)


12月7-8日(土日)
谷中骨董市
延命院(前庭・駐車場)
東京都荒川区西日暮里3-10-1
10-16時
(7日は当店は15時まで)
天候により中止あり
(出店確定)


12月15日(日)
大江戸骨董市
有楽町東京国際フォーラム
9-16時
当店は14時撤収開始
天候により中止あり
(出店予定)


【ご注意】
大江戸骨董市は終了時刻が16時ですが、当店は手持出店のため、終了時刻には全て片付けている状態の完全撤収が求められています。当店は細かい物が多く時間がかかるため、2時間前には撤収を開始いたしますので、どうかご了承ください。大江戸骨董市はお早めのご来場をおすすめいたします。