2世紀を超え太陽をとらえ時間を計る/ Antique Georgian Pocket Brass Sundial/Compass

英国アンティーク、18世紀の携帯型日時計。



今回は格別に古く珍しいお品物のご紹介です。



英国の大きなアンティークフェア。

屋外にも沢山のディーラーが品物を並べておりますが、大きな倉庫のような場所に、ジュエリーや、お値段が高目なアイテムを扱うディーラーが軒を連ねるところもあります。

その中の1軒。

沢山の望遠鏡や双眼鏡、コンパスや機器類など「メカもの」を扱う小さなストールがあります。店主は小柄な眼鏡のお兄さん。他の店主に比べれば、年齢的には若いものの、いざ話し出せば品物についての蘊蓄がとまらない、愛すべき、そして信頼すべき店主です。

そのフェアに行くたびに訪れる彼のブースにある、スペシャルなアンティークを入れたガラスケースがあります。ずっとずっと気になっていたそのケースの中にある、手のひらに納まる携帯式日時計。他のお客がふといなくなった時に、頼んで取り出して見せてもらいました。

「これは古い。古いよ。1750年代頃。」
「えっ・・。」一瞬絶句する私たち。
「古いのはわかるけど、どうしてそこまで古いってわかるんですか?」
「それはわかる。僕はずっと長いことこういうものを見てきたから。ここは手彫りだし、文字盤の具合も古い。絶対にわかるんだよ」


1750年代。
今から270年以上前。

日本は江戸時代中期、第九代征夷大将軍徳川家重(在位1745-1760)の時代。英国ではジョージ2世(在位1727-1760)の時代。
ジョージ2世の治世下、英国の領土は世界中で拡大し、内閣と議会の権力が確立した時代でもあります。1756年から7年戦争(主として英国対フランス/ヨーロッパ、アフリカ、アメリカを巻き込んだ18世紀の実質上の世界大戦)がはじまりますが、その他は比較的落ち着いていた時代と言えるのかもしれません。




そんな時代につくられた「携帯型日時計/Pocket Sundial」。



ここで日時計について少しだけご説明を致します。

人類は、何千年もの間、太陽の位置から時間や日や季節を判断し、利用してきました。太陽の日周運動や地球表面への季節加熱などの周期的なパターンを、人類は理解し追究することで、予測する知識や技術を習得し、立てた棒や石などの影が、太陽の時間(=太陽時間)と季節を示すことを、今からおよそ5千から7千年前に発見したと言われています。

中世に機械式時計が発明されましたが、当初は誤差が大きかったため、正午になると、機械式時計の時刻を補正するために日時計が使われたほど、太陽時間の重要性はしばらく維持されました。やがて、鉄道の高速走行と長距離移動の増加に伴い、都市ごとの太陽時間による不都合が各地で顕在化し始め、より広い地域にわたる時間の統一、標準化が急務となりました。そして、機械式時計は進化し、精度と信頼性が上がり、安価になって普及するにつれて、日時計の使用頻度は減少し、太陽時間はより正確な時計時間に置き換わっていくこととなります。


日時計にはいくつかタイプがあって、8種類とも11種類ともいわれていますが、今回のモデルは最も一般的な「水平式日時計」が基本原理です。
通常、ダイヤルフェイス/Dial Face、あるいはダイヤルプレート/Dial Plate と呼ばれる円形の文字盤に、指時針/Gnomon(ノーモン)が固定されており、文字盤は、影が暗い色であるため、明るい色が望ましく、素材は石や金属などさまざまです。

文字盤には時間線/目盛とローマ数字が刻まれていることが多く、時間線は三角関数を用いて計算されているので、時計の目盛のように均等にならないのが一般的です。ノーモンによる影は、針のように細長い棒状の方がより正確に読み取ることができますが、強度や安全性などの諸事情から、鋭い先端をもつ三角形に近い形状をした板状の金属によるノーモンが増え、その場合は影の外側エッジを読み取るようにします。三角の形状に意味はなく、安定性と必然性などの観点からこの形状が多く採用されているのでしょう。

日時計による太陽時間は、設置場所の条件と太陽の位置関係によって左右されるので、地球上のどこに居るか、いかに整った条件下で正確に設置するかが重要となります。

まず、一日中直射日光があたる場所で、日時計の文字盤を平らな水平面に合わせます。日時計は、地面、スタンド、テーブルなど、完全に平らな表面にセットされた場合のみ正しく機能します。

次に、コンパスなどを使用してノーモンを北に向けるのですが、これはあなたが北半球にいる場合で、南半球にいるのであれば、ノーモンは南に向ける必要があります。どちらでもない赤道上にいる場合になると、伝統的な水平式日時計の使用は極めて困難で、この場合は、垂直/縦型式日時計あるいは赤道日時計を使用します。さらに、あなたが北半球あるいは南半球のどの地点にいるか。


要するに設置場所の緯度および経度の情報が必須となります。



さて、今回ご紹介する18世紀の日時計。

一見はシンプルな、厚みある円盤状の真鍮。ねじ込み式の蓋を開ければ、折りたたみ式のノーモンと文字盤、方位磁針が現れます。
ノーモンを立て、方位磁針を利用してノーモンを北に向ければ、時間を測ることができる・・・という仕組み。

ただ、先述の通り、厳密に測るにはノーモンの角度は設置場所の緯度と同じ角度に調整する必要があります。例えば東京であれば北緯35〜36度なので、手前の南側を持ち上げるようにしてノーモンの角度を約9〜10度傾けなければなりません。そして経度は東京23区内は概ね東経139度なので、日本標準時と定められた東経135度に対し「+4度」となります。経度が15度ずれると1時間の差となるので、1度のずれは4分。したがって、東京23区内であれば、日時計の時間に16分足すと、計算上は時計時間となります。


良く晴れた日に試しに計測をしてみました。

時計時間はちょうど11時。その時この日時計は11時と12時の間くらいを指していました。今回は申し訳ないのですが水平に置いたこと、そして約16分すすむことを考えれば、それほどのひどい誤差がない時間を指してくれました。


誤差?・・・そうです、太陽の日周運動こそが時間の原点であるにもかかわらず、日時計による太陽時間は、もはや時計時間との比較でしか語られないのです。

今日のほとんどの人間、特に都市に住んでいる人々は、太陽時間を認識していません。代わりに、いかに私たちは時計によって告げられる時刻に完全に依存し、支配されているかがわかります。


時計時間を否定するわけではありませんが、日時計に接してみると、改めて太陽の恩恵とその奇跡を実感できます。太陽が真上にあったらほぼ12時を指すことが自明であれば、その前後の時刻も太陽時間で十分ではないかと思えてきました。


いつの日か、時計時間に縛られない生活を試みてみる第一歩として、晴れの日に日時計を使ってみることをお薦めします。

そしてその日時計が、18世紀からの歴史を背負った1ピースであるならば、さらに貴方の心に深く響くのではないでしょうか。
英国アンティークの稀有なる逸品を、是非この機会に手に入れてください。




こちらからも画像をご確認いただけます。


◆England
◆推定製造年代:c.1750年代頃
◆素材:真鍮、紙、他
◆サイズ(蓋を閉めた状態):直径約5.6cm 厚み約2cm
◆重量:87g
◆在庫数:1点のみ


【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、変色等がみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*蓋の開閉はネジ式でスムーズです。締め始めは注意深く溝を合わせるようにねじ込んでください。
*蓋は少しばかりのドーム状です。底部分も少し中央が膨らんでいますので、底はフラットではありません。
*正確な時計時間を測るものとしてはお勧めいたしません。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。

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222-128

0円(内税)

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