古びた木の上で揺れる時間 / Antique Victorian Dome Glass Small Sundial/Compass

英国アンティーク、ドームグラスの小型日時計。



当店では今まで数点の日時計をご紹介して参りました。

ボディが真鍮のものが多かったのですが、今回は木製ベースの日時計のご紹介です。



ベースとなる材は恐らく松系の挽物で、立ち上がり部分はウォールナットの化粧貼り。ただ、かなり年月が経っておりますので、化粧貼りはところどころ剥がれており、それがまた良い景色となっているような気がします。作られた時代は古く、19世紀ヴィクトリアンと推測いたします。


小さな日時計は主として携帯型であり、蓋つきが多いのですが、今回ご紹介するものはガラスドームが剥き出しとなっています。かつて蓋が存在していたのか、もともとこういう仕様なのかは不明。ただ、見る角度によって微妙に表情を変えるガラスドームと、ゆらゆら揺れる文字盤、そして古びた木の質感の相性は抜群で、窓辺においていつまででも見ていたい気持ちにさせれらます。


そんな、アナログで魅力的な日時計。

簡単ではございますが、由来などをご説明させていただきます。以前読まれた方や、お時間のない方は、まずは「**」のところまで、もっと先に行きたい方は「****」まで読み飛ばしてください・・・




人類は、何千年もの間、太陽の位置から時間や日や季節を判断し、利用してきました。

太陽の日周運動や地球表面への季節加熱などの周期的なパターンを、人類は理解し、追究することで、予測する知識や技術を習得し、立てた棒や石などの影が、太陽の時間と季節を示すことを、今からおよそ5千から7千年前に発見したと言われています。


中世に機械式時計が発明されましたが、当初は誤差が大きかったため、正午になると、機械式時計の時刻を補正するために日時計が使われたほど、太陽時間の重要性はしばらく維持されました。


やがて、鉄道の高速走行と長距離移動の増加に伴い、都市ごとの太陽時間による不都合が各地で顕在化し始め、より広い地域にわたる時間の統一、標準化が急務となりました。そして、機械式時計は進化し、精度と信頼性が上がり、安価になって普及するにつれて、日時計の使用頻度は減少し、太陽時間はより正確な時計時間に置き換わっていくこととなります。



日時計にはいくつかタイプがあって、8種類とも11種類ともいわれていますが、今回のモデルは最も一般的な「水平式日時計」が基本原理です。

公園や庭園などで見かける日時計も水平式が多く、西欧では庭園の台座などでよく見られるため、「庭の日時計」とも呼ばれています。

それらは通常、ダイヤルフェイス/Dial Face、あるいはダイヤルプレート/Dial Plate と呼ばれる円形の文字盤に、指時針/Gnomon(ノーモン)が固定されており、文字盤は、影が暗い色であるため、明るい色が望ましく、素材は石や金属などさまざまです。

文字盤には時間線/目盛とローマ数字が刻まれていることが多く、時間線は三角関数を用いて計算されているので、時計の目盛のように均等にならないのが一般的です。

ノーモンによる影は、針のように細長い棒状の方がより正確に読み取ることができますが、強度や安全性などの諸事情から、鋭い先端をもつ三角形に近い形状をした板状の金属によるノーモンが増え、その場合は影の外側エッジを読み取るようにします。三角の形状に意味はなく、安定性と必然性などの観点からこの形状が多く採用されているのでしょう。


日時計による太陽時間は、設置場所の条件と太陽の位置関係によって左右されるので、地球上のどこに居るか、いかに整った条件下で正確に設置するかが重要となります。


まず、一日中直射日光があたる場所で、日時計の文字盤を平らな水平面に合わせます。日時計は、地面、スタンド、テーブルなど、完全に平らな表面にセットされた場合のみ正しく機能します。


次に、コンパスなどを使用してノーモンを北に向けるのですが、これはあなたが北半球にいる場合で、南半球にいるのであれば、ノーモンは南に向ける必要があります。どちらでもない赤道上にいる場合になると、伝統的な水平式日時計の使用は極めて困難で、この場合は、垂直/縦型式日時計あるいは赤道日時計を使用します。


さらに、あなたが北半球あるいは南半球のどの地点にいるか。要するに設置場所の緯度および経度の情報が必須となります。


・・・もうこれ以降は理解が追い付かなくなりそうですが、地球と太陽の関係を見つめ直すために、地球儀をイメージしてみましょう。


緯度は、赤道を0度と定義し、上が北半球、下が南半球、赤道から上方向に北緯何度と数えていくので北極は北緯90度、赤道から下方向となる南極は南緯90度となります。赤道とは、自転する天体(地球)の重心を通り、天体の自転軸(地軸)に垂直な平面が天体表面を切断する理論上の線、と定義されているのですが、、、簡単に言うと地球を横方向で真っ二つにするラインが赤道です。


東西を表す経度は、旧グリニッジ天文台跡(ロンドン)を通る南北の線を0度とし、東西へそれぞれ180度まで表します。

東経180度と西経180度は同じ場所を示します。経度の基準となるグリニッジ天文台は、世界各国の標準時(タイムゾーン)の基準となるグリニッジ標準時の基点であり、平均太陽時の原点なのです。




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今回の日時計はガラスドームの下で文字盤/ダイヤルプレートが方位磁針のようにゆらゆらと回転し、それはコンパスの機能も兼ねています。多少の傾きであれば、文字盤が水平を保つよう補正もされる優れものです。


イルカの背びれのような形状をした金属製の薄い板でできた指時針/ノーモンは、文字盤の12時/北を指すように固定されているので、北半球であれば自動的に北を指し示すことになります。


ノーモンの傾斜角度は英国製の場合45度が一般的なので、赤道から45度の地点であればそのまま水平に設置すれば良いですが、ノーモンの角度は設置場所の緯度と同じ角度に調整する必要があります。例えば東京であれば北緯35〜36度なので、正確を期するなら、手前の南側を持ち上げるようにしてノーモンの角度を約9〜10度傾けなければなりません。

補足ですが、微調整が可能な脚や分度器が装備され、角度をアジャストできる水平式日時計もありますが、それらは後年追加された付加機能として、リプロダクションモデルに多く見受けられ、この時代のオリジナルモデルには無かった機能と思われます。



次は経度についてですが、日時計が示す太陽時間は、経度に応じて時計時間とのずれが生じるので、日時計から正確な時計時間を知るには少々面倒な計算が必要となります。


時計時間は、その場所の「標準時」を表します。地球の自転周期が24時間であることから地球を南北方向にほぼ等分に24分割すると、1時間毎に区分されます。それをタイムゾーンと呼ぶのですが、厳密にはその区分(24等分)に従っておらず、頻繁に通信する地域が同じ時間を保つ利便性など、法的、商業的、社会的目的のために統一された標準時を守る領域をタイムゾーンと定義していることから、それぞれの国や地域の事情によって、その範囲や区分けはまちまちとなり、さらに30分または45分オフセットされているゾーンもあります。


それぞれの標準時は、旧グリニッジ天文台跡を通る子午線/南北線のグリニッジ標準時(GMT)から、その前方/東経あるいは後方/西経かで定められており、GMTとそれぞれの標準時の時間差から経度を割り出します。


地球を24分割(360度÷24)するので、1時間ごとに、タイムゾーンはGMTから15度ずつシフトします。

例えば、日本標準時は、GMT+9時間なので、経度は、東経135度となります。ゆえに、経度から標準時を割り出すことも可能です。


そこで、太陽時間との関係となりますが、時計時間はあくまで標準時なので、日本のタイムゾーンは、東経135度の地点が標準時の基点となります。日時計は、設置場所の太陽時間を示すので、標準時/経度との差を計算しないと、厳密には時計時間と整合しません。


例として、東京23区内は概ね東経139度なので、標準時と定めた東経135度に対し「+4度」となります。経度が15度ずれると1時間の差となるので、1度のずれは4分。したがって、東京23区内であれば、日時計の時間に16分足すと、計算上は時計時間となります。


このように、日時計と時計時間との比較には、かくも面倒な手間が必要となりますが、条件の整理はこれだけではなく、時間補正の方程式なる表やグラフなどが存在しており、それは、地球の軌道の離心率や、公転軸に対して地球の回転軸(地軸)が約23.4度傾いていることなどが関係しています。


地球は楕円軌道を描いて太陽の周りを公転しているので、太陽に近い位置では公転速度は速く、遠い位置では公転速度が遅くなり、それらが原因で太陽時間の進み遅れが発生します。これを均時差と言うのですが、その差は一年を通じて波グラフのように変化し、均時差ゼロからプラスマイナスそれぞれ最大約16分程度まで変化します。


特に古い日時計の読み方は、それが作られた時代のものではなく、現在の時間補正の方程式にしたがって修正しなければ、より正しい時計時間へアジャストすることは困難です。




****


そんな状況ですが、試しに日の当たる場所において時間を測ってみました。参考までに写真をご覧ください。時刻は11時40分です。ノーモンの影は11時30分あたりを指しています。


本来であれば16分足した後に時間補正の方程式なるものも考慮しなければなりませんが、十分許容範囲なのではないでしょうか。


どうにもならない時間というものを、表示し管理することに、人はどれほどの労力を注いできたのでしょう。その確かな足跡が、この小さな日時計に込められているような気がします。


小さな日時計のガラスドームを覗いてみる。陽に当ててみる。手に取って揺らしてみる。

先人たちの足跡をたどる時、貴方の心にはどんな時間が流れるのでしょうか。




◆England

◆推定製造年代:c.19世紀

◆素材:木、ガラス、他

◆サイズ:直径約5.2cm 高さ約2cm

◆重量:12g

◆在庫数:1点のみ



【NOTE】

*古いお品物ですので、小傷や汚れ、木の化粧材の剥がれ等がみられますが、動作には影響ありません。

*季節によりますが、直射日光下に放置すると、ガラスドームの内部が結露します。

 結露しても機能に影響はありませんが、内部が見えずらくなりますので、日陰で冷ますか、ドライヤーなどの冷風をあてると元に戻ります。

*コンパスは電磁波などに影響を受けやすいのでご注意ください。狂ってしまった場合は、簡単な直し方がネットなどで紹介されていますのでお試しください。

*表示される時刻は大きな狂いはございませんが、精緻なものではありません。

*詳細は画像にてご確認ください。

*画像の備品は付属しません。

*上記ご了承の上、お求めください。

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222-123

36,000円(内税)

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7月21日(日)
大江戸骨董市
(出店確定)
有楽町・東京国際フォーラム
9-16時 (雨天予報および熱中症特別警戒アラート発令の場合中止)



8月の出店予定はございません。



【ご注意】
(仮)は出店できないこともございます。出店決定しましたら(出店確定)に更新いたします。

(出店確定)となっても天候やその他の事情により骨董市自体が中止になったり早く終わる可能性がございます。その際はご容赦ください。

大江戸骨董市は終了時刻が16時ですが、当店は手持出店のため、終了時刻には全て片付けている状態の完全撤収が求められています。当店は細かい物が多く時間がかかるため、2時間前には撤収を開始いたしますので、どうかご了承ください。大江戸骨董市はお早めのご来場をおすすめいたします。