ロココの薫り漂う銀はいかが / Antique Walking Stick Malacca Cane with Rococo Style Silver Grip

フランスアンティーク、マラッカ藤とシルバーのステッキ。




ステッキといえば英国のイメージが強いですが、もちろんフランスでもステッキは大切なファッションアイテムであり、必需品でした。


19世紀頃のヨーロッパ、とりわけ馬車が主要な交通手段であった19世紀後半から20世紀初頭に杖は黄金時代を迎えました。この時代の紳士たちはタキシードにシルクハットを身にまとい、杖を片手にして歩くのがおきまりのスタイル。杖は悪路の際の支えになり、時に武器となり、そしてもちろん大切な自己表現のアイテムでありました。


フランスの詩人、シャルル=ピエール・ボードレール(1821-1867)も作品の中で「杖なしで出かけるのはまるで丸裸で出かけているようなものだ」と述べており、19世紀の社会において杖の重要性がいかに大きかったかを知ることができます。しかし、産業が発展するにつれて馬車は自動車にとって代わられ、車に乗るときに不便なシルクハットと杖は次第に姿を消していくこととなります。



今回ご紹介するのは、ボードレールの国、フランスからの1本。


まず目を惹くのは、可憐なデザインのロココスタイルのグリップ。しなやかなアカンサスの葉、ガマ(=cattail)、デフォルメされたホタテ貝に可憐な小花。全てが流れるように配され、持ち主のものと思われるモノグラムを囲んでいます。ガマ(=cattail/キャットテイルもしくはTypha)は、日本にも自生しますが、北半球の温帯の水辺に分布しヨーロッパでもみることができます。ロココの時代からアールーヴォーを経て現代まで、その特徴あるフォルムで愛されてきたモチーフの一つです。



グリップの材をよく見てみましょう。


フランスのシルバーマークは英国ほど厳密に管理されてはおらず、通常、銀を証明する刻印と工房の刻印の2つが押されます。まず、フランスの銀細工工房を示すホールマークは1797年以降、菱形の刻印が使われています。菱形の内部に各工房のマークやイニシャルなどが配されます。

また、銀を証明する刻印としては一般的に95%(premier/プルミエ=ファースト)(1973年からファーストは92.5%に変更)と80%(deuxieme/ドゥズィエム=セカンド)の2段階に分けられています。代表的な物は1838年からのミネルヴァのマーク。ファーストの周囲は八角形で、セカンドの周囲は樽型であり、ミネルヴァの横顔の脇に在る数字やアルファベットで10年単位で年代を特定します。他に1838年から使われた猪と蟹のマークがあります。これは基本的にアクセサリーなど小さな銀製品に使用されるもので、猪がパリで、蟹が地方となり、純度は80%です。猪の刻印は1984年まで使用されました。




今回の品物をみてみましょう。

グリップ下部に小さなマークが、かろうじて二つ確認できます。消えかけている一つは菱形のマーク、もうひとつがおそらく猪のマークと思われます。猪のマークは小さな物に使われた...とありますが、このステッキは小さな物なのか、それともシルバー部分だけ見れば小さいのか、理解に苦しむところです。

正直、純度があっていればどちらでもよかったのかもしれません。猪のマークは1838年からの使用ですので、このステッキはそれ以降、そして19世紀の作であるのは間違いないように思います。



さて、シャフトはどうでしょうか。シャフト上部には以下の文字が刻まれています。

JONC NATUREL

「JONC」とはフランス語で「籐(とう)製のステッキ」を指し、「NATUREL」は「自然の」の意味ですので、「天然の籐製」というアピールだと思われます。


籐と言えば、英国のアンティークステッキで定番の高級素材、マラッカ藤があります。。飴色と斑模様が特徴の材ですが、このフランスのステッキの籐も同じくマラッカ藤と言ってよいと思います。全体として斑はあまりなく、濃い目のキャラメルカラーですが、断面が円形ではなく、一部がとがった(大げさに言えば雫状)形であるというマラッカ藤の特徴を確かに持っています。シャフトの下のほうはやや小傷の密度が高くなっており、使われてきた証として受け止めて頂ければと思います。



フランスのお洒落な紳士が愛用していたであろう、優雅な逸品。ロココの薫り漂う意匠と歳月を経た色艶が味わい深いシャフトを持つステッキは、唯一無二の存在感をもっています。

優雅な佇まいの貴方にこそ、お持ちいただきたいフランスアンティークのひとしなです。



こちらからも画像をご確認いただけます。


◆France
◆推定製造年代:c.1838年以降の19世紀
◆素材:マラッカ藤、シルバー、他
◆サイズ:全体長さ約89cm グリップ直径約2.8cm
◆重量:約190g
◆在庫数:1点のみ


【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、凹みや変色等がみられます。
*シャフトはわずかに反りが見られます。体重をかければ少ししなります。
*石突き部分の金属は良いコンディションですが、実際にご使用の際はゴムキャップなどの装着をおすすめいたします。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
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ロココの薫り漂う銀はいかが / Antique Walking Stick Malacca Cane with Rococo Style Silver Grip

523-174

42,000円(内税)

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11月3日(日)
大江戸骨董市
有楽町東京国際フォーラム

**ご来場有難うございました**


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大江戸骨董市
有楽町東京国際フォーラム

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谷中骨董市

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12月1日(日)
大江戸骨董市
有楽町東京国際フォーラム
9-16時
当店は14時撤収開始
天候により中止あり
(出店予定)


12月7-8日(土日)
谷中骨董市
延命院(前庭・駐車場)
東京都荒川区西日暮里3-10-1
10-16時
(7日は当店は15時まで)
天候により中止あり
(出店確定)


12月15日(日)
大江戸骨董市
有楽町東京国際フォーラム
9-16時
当店は14時撤収開始
天候により中止あり
(出店予定)


【ご注意】
大江戸骨董市は終了時刻が16時ですが、当店は手持出店のため、終了時刻には全て片付けている状態の完全撤収が求められています。当店は細かい物が多く時間がかかるため、2時間前には撤収を開始いたしますので、どうかご了承ください。大江戸骨董市はお早めのご来場をおすすめいたします。