ランスウトの大きな橋の袂から/ Antique Georgian Print with Hogarth Frame

英国アンティーク、フレーミングされたジョージアンの手彩色鋼版画。




英国で手に入れた端正なアートフレーム。タイトルは「LLANRUST BRIDGE」。


まず、「LLANRUST BRIDGE/ランスウト橋」とは北ウェールズ、コンウィ川沿いにあるマーケットタウン、ランスウトにある橋のこと。(ちなみに現在のスペルは「LLANRWST」。「LLANRUST」は昔のスペルらしく、このような古い絵のタイトルや昔の会社名などで散見されます)

橋は「Pont Fawr(Y Bont Fawr)/ポンファウル(=大きな橋)」とも呼ばれ、1636年に作られたものです。3つのアーチが連なる石づくりの美しい橋は、現在は英国建造物のグレード I(最高に重要な建造物)に指定されています。


中にある版画は1801年初版「The Beauty of Englamd & Wales」からの1枚。イングランドとウエールズの様々な名所を集めた鋼版画(Steel engraving) 及び説明書きで構成された小冊子で、連続してシリーズ化して発刊しており、この「LLANRUST BRIDGE」が発刊されたのは1814年となります。オリジナルは「John Preston Neale(1780-1847)」、鋼版画は「Thomas Woolnoth(1785-)」によるものです。

このような小冊子は当時よく発刊されており、数多くの名所を題材に数冊から10冊以上と、連続してシリーズとして発刊されることが多かったようです。写真が無い時代、各地の名所を愉しむためには格好のメディアのひとつだったのかもしれません。基本的には製本されておらず、数枚で1冊(束)だったので、額装をして家を飾ることも良く行われていたようです。



今回のお品物も額装されており、背面をみれば比較的新しい額装で、貼られたラベルには以下の文字がみられます。

Thisprint is over 100 years old
and supplied by
Olwen Caradoc Evans
Conway, Wales.
United Kingdom



まずは「Olwen Caradoc Evans/オルウェン・カラドック・エヴァンス」について。

オルウェン・カラドック・エヴァンスは1918年にウェールズの海辺の町「Cricieth/クリキエス」で生まれた女性。後に結婚、そしてロンドンでの仕事の後にウェールズへ戻りクリキエスより少し内陸に入った「Llanrwst/ランウスト」に「Tu Hwnt i'r Bont」をオープンし、地図、版画、海図の収集と販売を始めました。彼女は1959年に「Conway/コンウェイ」に移り、1964年に「ウェールズの地図とウェールズの地図製作者」を、1969年に「ウェールズの海洋計画と海図」を出版しました。


参考:National Library of Wales
Olwen Caradoc Evansの頁
https://archives.library.wales/index.php/evans-olwen-caradoc


以上のことから、このラベルは彼女がコンウェイに移ったのち、1959年以降のものであることがわかります。


オルウェンは1830年代のヘンリー・ガスティノーによる鋼版画に手彩色を施し、フレーミングして販売していたのでしょう。納められているブラックベースにゴールドがポイントでついた細いフレームは「Hogarth Frame/ホガース・フレーム」と呼ばれるもの。英国では一般的にみられるこのフレームは、ヴィクトリア時代に美術版画出版社を設立し、版画販売者、額縁製作者、美術修復家としても活動していた「ジョセフ・ホガース/Joseph Hogarth(1801-1879)」が由来です。

当店では同シリーズのアートフレームを以前販売いたしましたが、その時とほぼ同じ大きさながら、中の版画とラベルの文言が微妙に異なっています。ただ、フレームデザインやマットとのバランスはほぼ同じですので、恐らくエヴァンスが営む店の人気の定番スタイルであったと思われます。



もう一度品物をみてみましょう。中央左寄りには「Pont Fawr(Y Bont Fawr)」。背景には小高い山がそびえ、右手には家が並んでいます。コンウィ川には牛が水浴びをし、手前にいるのは子供たちでしょうか。橋の上にも人影があり、のどかなウェールズの情景が描かれています。

ちなみにgooglemapなどでみてみれば、この風景はランスウトの町から川を臨んだ見え方であり、橋のたもとには、まさにこの家がすっかり蔦に覆われた状態で建っているのをみることができます。そして山の方から町に入る大切な橋として現役で使われているようです。


羊毛産業で発展し、ハープや時計の製造でも知られていたというランスウト。中世ウェールズの統治者、ルウェリン大王の石棺を安置する聖グルウスト教区教会もあることから、深い歴史と文化を感じる町でもあります。


鋼版画を眺めつつ、ランスウトの歴史を紐解く。そんな時間を過ごすのも一興かと思うのですが、いかがでしょうか。



こちらからも画像をご確認いただけます。


◆England(Wales)
◆推定製造年代:プリントc.1814年、額装:1960年代頃
◆素材:紙、木、ガラス、他
◆サイズ:約23.3×18.3cm 厚み約1.3cm(+吊り金具)
◆重量:316g
◆在庫数:1点のみ


【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、変色、金彩の剥がれや塗装のトビ等がみられます。
*詳細は画像にてご確認ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
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523-125-1

7,800円(内税)

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11月3日(日)
大江戸骨董市
有楽町東京国際フォーラム

**ご来場有難うございました**


11月9日(土)
Marunouchi Antique Market
丸の内仲通り
丸の内二丁目ビル前

**ご来場有難うございました**


11月10日(日)
大江戸骨董市
有楽町東京国際フォーラム

**ご来場有難うございました**


11月16-17日(土日)
谷中骨董市

**ご来場有難うございました**


12月1日(日)
大江戸骨董市
有楽町東京国際フォーラム
9-16時
当店は14時撤収開始
天候により中止あり
(出店予定)


12月7-8日(土日)
谷中骨董市
延命院(前庭・駐車場)
東京都荒川区西日暮里3-10-1
10-16時
(7日は当店は15時まで)
天候により中止あり
(出店確定)


12月15日(日)
大江戸骨董市
有楽町東京国際フォーラム
9-16時
当店は14時撤収開始
天候により中止あり
(出店予定)


【ご注意】
大江戸骨董市は終了時刻が16時ですが、当店は手持出店のため、終了時刻には全て片付けている状態の完全撤収が求められています。当店は細かい物が多く時間がかかるため、2時間前には撤収を開始いたしますので、どうかご了承ください。大江戸骨董市はお早めのご来場をおすすめいたします。