砦を守るパイロットの双眼鏡 / Vintage Brass WW2 Pilots Spotting Binoculars in Original Case

英国ヴィンテージ、オリジナルケース入りパイロット用双眼鏡。





英国の大きなアンティークフェア。

あらゆるアンティークが集まる広大な敷地の中の一角に、私たちが行く度に訪れるコーナーがあります。つるりとした頭部に眼鏡をかけた、貫禄ある親父殿が営む小さな一角には、レンズや定規、双眼鏡といった光学機器が整然と並んでいます。

彼のポリシーなのでしょう、真鍮はどれもピカピカに磨き上げられており、たとえそれが19世紀のものだとしても、覗きこめばそのまま顔が映りこむほどの輝きをもっています。




今回ご紹介する双眼鏡は、その親父殿からのひとしな。


シックなレザーケースは使い込まれた革の質感が見事。蓋を開ければ、金色に輝く真鍮の双眼鏡が現れます。



レザーケースの蓋には以下の文字が刻印されています。

BINOCULAR 2 1/2×50
10° FIELD
CAT. No. VF. 2506
A.G.& CoLtd



双眼鏡本体にも以下の文字。



9794
V.F. 2506



まず注目したいのは「↑」。

当店で何度かご紹介してきたこのマークは「Broad Arrow/ブロードアロー」。もともとはヨーロッパにおいて紋章としてつかわれていた「pheon/小槍」などが元といわれており、17世紀末頃から英国の官有物にマークとしてつけられるようになりました。

主として軍用でしたが、他の用途にも使われることがあったようです。植民地時代のアメリカやオーストラリアにおいても同様で、軍や官庁などのサーベイマーカーとしての使用がみられます。英国において、機器や備品関係などにこのブロードアローがついているものがあれば、まずは英国軍のもの、あるいは英国政府の財産であった可能性が高いといえるでしょう。



そして「FIELD」とは、双眼鏡の実視野(実視界)のことで、双眼鏡を覗いたときに実際に見える範囲の角度を表します。この角度が大きいほど、より広い範囲を見渡すことができます。つまり「10° FIELD」は実視野10度ということになります。なお、一般的に倍率が高くなると実視界は狭くなり、それを防ぐために広角レンズにすると周辺像が崩れる、ということがおきます。

「50」は50倍、「2 1/2」は対物レンズのサイズと思われます。測ってみると対物レンズ側の筒の内径は約5.4cmですが、筒本体はそれより大きくなっており、外形で6.4cmくらいはありそうですので、2と1/2インチ(6.35cm)の対物レンズが大きい部分の筒内径にぴっちりおさまっているのかな、と思います。


また「9794」「V.F. 2506」はこの双眼鏡の型番号と思われます。


そして「A.G.& CoLtd」ですが、こちらは双眼鏡のメーカー名ではなく、このケースを製作した会社名と思われます。正式名称は「A. Garstin and CoLtd/A. ガースティン・アンド・カンパニー」。1871年にロンドンで設立され、1920年代までには家庭用及び輸出用のあらゆる種類の皮革製品の製造を行っていました。


参考:Graces Guide to British Industrial History
A. Garstin and Coの頁
https://www.gracesguide.co.uk/A._Garstin_and_Co


さて、双眼鏡本体ですが、おそらく「Henry Hughes and Son/ヘンリー・ヒューズ&ソン」の「Husun Pilot」というシリーズのひとつなのではないかと思われます。第二次大戦に使用され、パイロット、パスファインダークルー、SASや空挺部隊などの特殊部隊で使用されていました。シンプルなガリレオ式双眼鏡ですが、光を最大限に集め、低照度下でも優れた視界を確保できる構造となっていることが特徴のシリーズです。

筒部分の表面仕上げは真鍮製のもの、真鍮に黒塗装のもの、レザー張りのものと色々ですが、どれもが大きなレンズと接眼目あて(目を覆うカバー部分のこと)がついているようです。



なお、品名の「Husun」の命名の動機は不明ですが、アラビア語で地名や人名としても使われる一方で「要塞」「砦」「城塞」などの意味をもつことから、「砦を守るパイロット」の意味を込めたのかな、などと推測いたします。



80年前後経つと思われる品物ですが、コンディションは良好。
非常にクリアな視界で対象物をよく見ることができます。


こぶりながらもずしりと重い真鍮製の双眼鏡。パイロットたちはどんな思いでこの双眼鏡を覗いていたのでしょう。



闘い、そして守る。
遥か昔から現代まで続く人間の営みは、果たして変わることは無いのでしょうか。


そこに在ることで何かを雄弁に語る、英国ヴィンテージのひとしなをお届けいたします。



こちらからも画像をご確認いただけます。

◆England
◆推定製造年代:c.1940-1950年代頃
◆素材:真鍮、ガラス、樹脂、皮、他
◆サイズ:幅約12.4cm 奥行約8.8c 厚み約6.4cm
◆本体重量:724g
◆ケース重量:277g
◆在庫数:1点のみ


【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、錆びや変色がみられます。
*レザーケースには若干の傷みがみられます。
*詳細は画像にてご確認ください。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。
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325-028

48,000円(内税)

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有楽町東京国際フォーラム
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有楽町東京国際フォーラム
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