気泡の中で揺れる方位磁針 / Vintage Liquid Compass with Lid


英国買付、ヴィンテージの液体コンパス。





液体コンパスが初めに作られたのは17世紀といわれていますが、反応の遅さなどの問題があり、軍などで実用とされたのは20世紀になってからといわれています。

一般的な乾式コンパスにくらべ、液体コンパスは 磁化された針が液体に漬けられており、 縦や横に揺れすぎることから保護され、 これにより摩耗が軽減されることが特徴。
近年では液体につけられた球状のものが方位を示すタイプも多くなっています。

コンパスに充填される液はオイルが多いのですが、製造メーカーごとに成分は異なり企業秘密。
また、コンパスにもよりますが、経年変化(パッキンなどの劣化)により気泡が入ってしまうことはよくあることと言われており、一般的には10年程度が寿命といわれています。


さて、今回ご紹介するコンパス。
気泡が入ってしまっており、コンパスを傾けると気泡がゆらゆらと動きます。
大きなものだけでなく、よくよくみれば周囲にも極細かな気泡がみられます。
つまり気密性が劣化してしまっているのですが、英国買い付け時以降、私の手元で液が漏れだした感じは一度もないため、今のところ気泡が入った程度で安定していると思われます。

針の動きはスムースで、気泡がなければ液体が入っているとはとても気づかない滑らかさです。




そして、このコンパスのもうひとつの特徴が方位のアルファベットに塗られた夜光塗料。

夜光塗料の歴史は1903年のラジウム夜光から始まります。
ラジウムといえば放射性元素であり、その性質を利用して塗料がつくられ、時計の文字盤やコンパスなどに使用されました。
ただ、当時の情報量の少なさにより、製造作業をしていた人々が塗る筆の穂先をなめたりしていたことから多くの健康被害が生まれたといいます。

なお、製品として所有する分には健康に影響はなく、ラジウム夜光をつかった時計は「ラジウム時計」とよばれ、今ではコレクターズアイテムとなっています。



ラジウム夜光は問題があったため、その後にはトリチウムというやや放射性の弱い物質が使われるようになります。
一般的にトリチウム夜光は1990年代後半〜2000年頃までの使用が多いようです。
(ロレックスは1961年頃から切り替えていました)
ただ、トリチウム夜光は寿命が短く、10年ほどで光らなくなるといわれています。


ちなみに、現在ではルミノバという放射性元素をふくまない蓄光塗料が主流となっています。



さて、今回ご紹介するコンパス。
方位のアルファベットに塗られている盛り上がった薄緑色はまだ光を発するのでしょうか。
薄暗いところでみると全く光らないように見えますが、真っ暗な部屋の中でみると・・・かすかに緑色の光を放ちました。
掲載画像は画像加工によりコントラストをかなり強調していますが、ご参考までにご覧ください。



文字盤には「FOREIGN」の文字が見られ、他国で生産し英国で販売されたものであることがわかります。
コンパス等はドイツが多く生産していたので、生産国はドイツかもしれません。



以上のことから、この液体コンパスはラジウム夜光の文字盤をもち、20世紀半ば、おそらくは1950年代頃のお品物なのではないかと推測いたします。




素っ気ないほどにシンプルな銀色の外観。
蓋を開ければ、蓋裏にはグリーンのフロック加工(繊維の毛羽を特殊な技術で密集密着させベルベットのようにみえる加工)が施されており、ガラス面へのアタリを和らげています。
ゆらゆら揺れる磁針と、ぽこりと浮く気泡。
ラジウムの焼けた表情をもつ方位の文字。




格別豪華なわけでも、凝った意匠をもつわけでもありませんが、この小さな機器には様々な技術と歴史が詰まっています。
そこから感じられるストーリーを、是非貴方の胸で受け止めてください。





こちらからも拡大画像をご確認いただけます。


◆England買付
◆推定製造年代:c.1950年代頃
◆素材:金属・ガラス・他
◆サイズ:直径約4.5cm(ペンダント部分+1.8cm) 厚み約1.4cm
◆重量:273g
◆在庫数:1点のみ


【NOTE】
*古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、錆や変色がみられます。詳細は画像にてご確認ください。
*コンパスとして機能いたしますが、古いものであるため精緻な計測にはおすすめできません。
*気泡は分散し、ほとんど見えなくなる時期もあります。
*蓋は安定して閉まりますが、特にストッパーなどはございません。
*画像の備品は付属しません。
*上記ご了承の上、お求めください。


  • 気泡の中で揺れる方位磁針 / Vintage Loquid Compass with Lid
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気泡の中で揺れる方位磁針 / Vintage Loquid Compass with Lid

719-273

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大江戸骨董市
有楽町東京国際フォーラム
9-16時
当店は14時撤収開始
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