Todd Lowrey Antiques

真摯な想いを積み重ねるように /Antique Mahogany Chemists Stand by S.MAW, SON & SONS, LONDON

英国アンティーク、ケミストスタンド。




試験管、ケミストボトル（薬瓶）、ビーカー等々。機能的で冷たい印象がある実験器具ですが、並べるとなんだかワクワクしてしまうのは何故でしょうか。

それはそこに向かって真摯になにかを見つけようとした人々の姿が、視えてくるような気がするからかもしれません。最新のラボラトリーも魅力的ですが、ここはアンティーク屋として、英国の古いケミストスタンドをご紹介させていただきます。


幅40cm近い堂々たる躯体をもつケミストスタンド。材は古艶を放つマホガニーで出来ており、左右には持ち運び用の取っ手が設えられています。
奥には縦に長い物を入れられるスペース、手前には試験官と薬瓶を立てることのできるスタンド。そして中央にはおそらくその時に行っているなにかを置いておくための台座が配されています。下部は浅めの抽斗となっており、細かな物をしっかりしまっておくことが可能。

そして、背板上部には以下の文字がみられます。


S.MAW, SON & SONS, LONDON


「S.MAW, SON & SONS」とは、19世紀前半にロンドンで創業した実験器具や医療器具などのメーカーのこと。


英国のScience Museum Groupのサイトに、同社の頁がありましたのでご紹介しておきます。

https://collection.sciencemuseumgroup.org.uk/people/cp110869/s-maw-son-sons-limited


概要としては1828年にロンドン、「Aldersgate/アルダーズゲート（ロンドン中心部セントポール寺院の北側あたり）」において「J and S Maw」として設立され、1860年から1870年は 「S Maw」、1860-1870年は「S Maw & Son」1870年から1901年は「S Maw, Son & Thompson」、John Thompsonの引退により1901年から1918年に 「S Maw, Son & Sons」となり、1918年に会社化されて「S Maw Son & Sons Limited」、1940年代には「Maws Pharmacy Supplies Limited」となって「Barnet/バーネット（ロンドン北部）」に移転した、とあります。


よって「S.MAW, SON & SONS」という名称が使われていたのは1901年から1918年まで。そして会社化され「S.MAW, SON & SONS,LTD」となったのが1918年から1940年代まで。1940年以降は改名し、移転したということになります。

商品に付ける名称として「LTD」が省略されていた可能性もありますので、「S.MAW, SON & SONS　LONDON」は1901年から1940年頃までということなのは間違いないかと思います。


同社の製品は薬瓶や計量カップ、医療器具などがアンティーク市場にて散見されますが、今回ご紹介しているようなケミストスタンドはほとんど見つけることは出来ないかと思います。それだけ残っている数は少なく、希少なものであるということでしょう。


今回のお品物には、3本の蓋つきガラスボトルと試験管がセットされています。ガラスボトルの底には「MADE IN BRITAIN」の文字がみられますが、試験管には特に文字やマークはみられません。S.MAW, SON & SONSのオリジナルのものでない可能性もございますので、そこはどうかご了承ください。


かつてどんな人がこのケミストスタンドを使ってきたのでしょうか。

実験を繰り返した化学者？それともフルカネリに影響された錬金術師？古い時代の英国では薬局でも薬剤の調合が行われていたので、ひょっとしたら薬剤師かもしれません。

ただ、想像ではありますが、この立派なマホガニーのスタンドからすると、富裕層でお金には困らない、化学好きな紳士が趣味の延長で実験にいそしんでいたような気も致します。



そこに在るだけで圧倒的な存在感を放つ、世紀を跨いできたケミストスタンド。アクセサリーや小物のディスプレイはもちろん、工夫次第でデスクタイディ（デスク上の小物収納）としてもお使いいただけそうです。

そしてもちろん、化学実験をそのまま引き継いていただいても。マホガニーについた古い染みに重ねるように、貴方の真摯な想いを積み重ねるのもよろしいのではないでしょうか。



こちらからも画像をご確認いただけます。


◆England
◆S.MAW, SON & SONS, LONDON
◆推定製造年代:c.1901-1940年頃まで
◆素材：マホガニー、ガラス、他
◆本体サイズ：幅約39.1(+左右の持手)cm 奥行き約21.6(+抽斗ツマミ)cm 高さ約26cm
◆抽斗内寸：約36×19.5cm 深さ約3.2cm
◆本体重量:2.35kg
◆在庫数：1セット（スタンド本体+薬瓶3本+試験管3本）のみ


【NOTE】
＊古いお品物ですので、一部に小傷や汚れ、歪みや変色等がみられます。詳細は画像にてご確認ください。
＊蓋つきガラスボトルの蓋は緩めです。密閉出来るレベルではなく、逆さにすれば蓋は落ちます。
＊ガラスボトルには製造時からと思われる筋がみられます。ワレや欠けはみあたりません。
＊画像の備品は付属しません。
＊上記ご了承の上、お求めください。